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気になるQ&A


■塗料について ■タンポ擦りについて ■根来塗りと逆根来塗りについて
■青海波塗りについて ■津軽塗りについて ■蒔貝研ぎ出し塗り(螺鈿)について
■その他    

塗料について

Q.塗料の配合は?

A. カシュー塗料は、刷毛用シンナーと吹付用シンナーがあります。
夏・冬の気温によっても違いますが、目安として刷毛塗りでしたら刷毛用シンナーを20%。
エアースプレーによる吹付塗料には吹付用シンナーを30%混入して攪拌(かくはん)をよくしてから使用します。

Q.攪拌(かくはん)とは?

A. 塗料のフタを開けたら、木ベラにてよく混ぜます。
それから木ベラを使ってポリカップ等に取り出し、シンナーを加えてまたよく混ぜます。
よく馴染むまで混ぜることを<攪拌(かくはん)>といいます。

Q.塗装する時の塗料の量は?

A. 刷毛塗りの場合は、塗料のロスがありませんので30cm×30cmぐらいの面積を塗るのに約40gです。
幅30cmの木ベラで1回10gぐらいですから、4回木ベラで取り出す量です。
エアースプレーにて吹付塗装の場合は、塗装ロスがありますのでその倍ぐらいが目安です。

Q.カシューの色って何種類くらいありますか?

A. 市販では、下地・サフエサーを含めて約50種類です。
しかし全部買い揃える必要もありませんので、主な色<赤・青・黄・朱・白・黒・緑>等で
自分のオリジナルな色を調合するのも楽しみの一つだと思います。
ただしカシュー塗料は、原油の色が透(琥珀色)でそれに顔料を混入していますので、
純白ではなく黄味がかった白になります。
透明なクリヤーもありませんので、その中でも一番透明に近いものでネオクリヤーとスーパークリヤーがあります。
天然の樹脂ですので、その琥珀色がかえって塗り物の味を出していると思います。

Q.塗装したらシワシワになります。なんで?

A. 厚塗りだと思います。カシュー塗料は一般の塗料より塗装の塗膜が厚くなります。
乾燥する時に表面が先に乾き、中の方が後から乾いていきます。
中の方が乾く時、表面を引っ張ってシワになります。
スミの方や塗料の固まりやすい窪みなどは、厚くならないように刷毛で平滑に塗りましょう。
特に厚塗りにならないように注意しましょう。

Q.塗料が乾きません。どこかに問題があるのでしょうか?

A. 先ずは2つの原因が考えられます。

1つ目は、塗装してあるものの上に塗る場合です。
海外で塗られてきたものには、その現地の昔から使われている塗料が油性であったり(注1)漆であったり、ニス系のものであったり、ラッカー系のものであったりします。
塗る前にウエスにシンナーをしみらせて拭いてテストして下さい。
ウエスがべトついたり、溶けるようでしたらシンナー等で洗浄してさらにサンドペーパーをしてから塗装して下さい。
また、溶けないようでしたら合成樹脂塗料だと思いますので、サンドペーパーをしてから塗装して下さい。

2つ目は、木材に含まれている成分です。黒丹・紫丹・ローズ・チーク材には、木材の導管内にヤニ成分があります。
またけやきにもケヤキニン(タンニンの種類)があり、乾燥不良になったり、赤変(けやきの木目が赤く変化していく)したりします。対策はポリウレタン系のクリヤーを塗装してヤニ止めしてから、サンドペーパーをしてカシュー塗料を塗って下さい。
※(注1)漆の上にカシュー塗料を塗装しても乾燥しません。しかし、逆の場合は乾燥します。

Q.塗料が硬いのですが、柔らかくするにはシンナーを入れたらいいのですか?

A. 刷毛に塗料をつけて、塗料が滑らかに伸びない場合はもう少しシンナーを入れて下さい。
スプレーガンにてバサバサと出たり、塗った物がブツブツになってしまう場合も、シンナーが少ないということになります。
気温によってもシンナーの量は変わってきます。

Q.室内を締め切って作業したら、体によくないですか?

A. 塗料中に含まれるシンナー等が、乾燥時蒸発しますので体に有害です。
また皮膚刺激・眼への刺激もありますので、換気をよくし防毒マスク・保護手袋等をして作業して下さい。

Q.塗料には色々な臭いがありますが、カシュー塗料はどんな臭いですか?

A. 先ず缶のフタを開けると、クレゾール系の強い臭いがします。その臭いが一番強くなるのは、塗った物を乾燥させる時です。時間が経過して乾燥していくと臭いが消えていきますが、周囲の人のことも考えて
作業場所を選択して下さい。

Q.外で作業をしようと思いますが、ゴミがついたりしますか?

A. 風通しがよいので作業しやすいと思いますが、室内・外を問わずホコリやゴミの発生しやすい所はできるだけ避けて下さい。
また直射日光で乾燥させると、材木中の空気が膨張して塗膜を破り発疱の原因になりますので、日陰にて乾燥させて下さい。

Q.服に塗料がついたら、洗って落ちますか?

A. すぐでしたらシンナー等である程度落ちますが、顔料が入ってますので完全には落ちません。
作業着やエプロンをして作業して下さい。
また、塗装用具(刷毛・木ベラ等)は塗装終了後シンナー等でよく洗って下さい。
乾燥してしまうと、どんな強いシンナーでも溶けなくなります。

Q.乾燥後は油などに溶けませんか?

A. 乾燥してしまうと、(18時間以上)耐油性・耐薬品性・耐熱性に最も優れた塗料です。

Q.塗装後のウエスや研磨粉の処理方法は?

A. 酸化乾燥型の塗料ですので、自然発火することもあります。
使用後のウエスや研磨粉などは必ず水にひたし、ポリ袋に入れて『可燃ごみ』として処理して下さい。

Q.残った塗料の保存方法は?

A. カシュー塗料は乾燥剤に金属ドライヤーを使っているため、缶内の空気だけでも表面が乾燥し皮が張ります。
使用後は表面にシンナーを入れるか、ハトロン紙等で空気を遮断して保存して下さい。
また、皮が張ってしまった場合は木ベラにて皮を取り除き使用して下さい。
残った塗料を缶に戻してもよいですが、ゴミ・ホコリが入ってますので次回使用時は希釈した塗料をこし紙(吉野紙)にて
濾過(ろか)してから使用して下さい。
保存場所はあまり温度の上がらない場所で、子供さんの手の届かない場所を選んで保存して下さい。

Q.仕上がりが不十分なのか、艶があまりありません。

A. 1つは乾燥室の空気が悪い時で、風通しの良い場所で乾燥させましょう。
2つ目は(注2)溶解力のない不良シンナーか、薄め過ぎた時です。
専用のシンナーを使い、適正な塗料粘度に薄めて塗装して下さい。
3つ目は、木材に下塗りの吸込みが多い時です。
下塗(木固め)を十分行ってから研磨し、中塗り・上塗りと塗装して下さい。
※(注2)塗料に混ざりにくい、溶けにくいシンナー

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タンポ擦りについて

Q.模様が木によって違いますが、駄目な木などあるのでしょうか?

A. どの様な木でもできますが、仕上がりが美しいかで決まります。
木の木目が美しい導管の深い木を選びます。けやき・ニレ・センタモなどで板目(竹の子模様)の木材を選びます。
カツラ・ホウ・シナは木目が少ないので、仕上がりに味が無いと思います。

Q.タンポでやらないと駄目でしょうか?

A. 刷毛塗りでは刷毛ムラがでやすいですし、スプレーガンでは木の導管に塗料が入りにくいので、
物理的にタンポにて擦り込むことにより木の導管がつまり、木目が鮮明に表現されると思います。

Q.色を濃くしたい場合は塗り重ねればいいのでしょうか?

A. 1回目は、下塗りにて木の吹込み止めで艶もあまりありません。
2回目から光沢も良く風味が出てきます。一般ではカシュー透を使いますが、
塗り重ねると黄味から赤味の琥珀色へと変っていきます。
3〜4回ぐらいがよいと思いますが、好みの色を選んで下さい。
また、下に黄色などの染料で着色してカシュー淡透を塗り重ねても、違う風味のものに仕上がります。

Q.色を重ねる時の注意点を教えて下さい。

A. 1回ごとに乾燥を十分にして下さい。最低でも1日1工程です。
縁に色が溜まると、チジミの原因になりますので縁の方も丁寧にタンポを擦りをして下さい。

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根来塗りと逆根来塗りについて

Q.朱と黒以外でもいいのでしょうか?

A. 色のコントラストを考えて、色の組み合わせは自由です。
ただし、上塗りの淡透もアメ色ですので多少暗くなります。
明るくしたい場合は、ネオクリヤーを上塗りに使用して下さい。

Q.サンドペーパで模様を出す時、うまく模様が出ません。研ぎ方の方法は?

A. 中塗りで下に塗る色は厚めに、上に塗る色は薄めに塗ります。
研ぎ方は模様を出したい所だけ研ぐのではなく、大きく研いでいくと曙のように少し色が出てきます。
色が出てきた場所を広げるような、それでいてオーバーに研ぎます。曙塗りとも言います。

Q.色を重ねる時の注意点を教えて下さい。

A. 全体を均一に塗ります。特に縁に塗料が溜まりやすいので、刷毛さばきで取るように塗ります。
それでも溜まってしまった場合は、塗って翌日乾燥してからアテ木にサンドペーパーをまいて水研にて平滑にします。
厚くなったまま次々と塗り重ねると、最後の乾燥で大きなシワ・チジミになりますので注意して下さい。

Q.模様を出す時、他の角にサンドペーパーが当たって研ぎ落としてしまいしました。

A. 筆などを使って研ぎ落とした部分を補修します。乾燥してから軽く研ぎ上塗り(淡透)を全体に塗ります。

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青海波塗りについて

Q.小さいものに塗りたいのですが、木ベラでは大き過ぎる模様になります。

A. 茶卓とか小物の縁などに波模様を入れる時は、薄いプラスチック板などをカッターナイフで櫛型にしたり、要らなくなった櫛なども使えます。
また焼き鳥用の竹串などで模様を描くことも出来ます。

Q.波模様をうまくつけるコツは?

A. 木ベラ櫛型で半円を描くように反転するのですが、先ずは上の方から左右が重なるように描きます。
その下を描く時も上と重なっても良いです。
慣れもありますので、バランスよく模様をつけて下さい。
もし失敗したら、すぐに漆器用下地を塗り直しもう一度チャレンジして下さい。

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津軽塗りについて

Q.シボ模様をつけるコツは?

A. 普通は木片に布を巻いてタンポを作り、反転しながら模様をつけていきます。
布に粒の揃った小石を入れて輪ゴムで留めた形のタンポでもいいですし、身近にある物を利用すると変った模様が出来ます。
例えば、縄文人が縄で模様をつけたように。

Q.色は好きな色で塗ってもいいのでしょうか?

A. 好みの色を塗り重ね、研磨しながら模様が出てくるのは感動します。
どの様な模様にするか、色の重ね方を想像する所に面白さがあります。
例えば、左は緑で右は赤とか、同じ層で色を変えるのも自由です。
参考までに銀色を入れておくと上塗りの淡透により金色に変化しますので、色彩の深みがでると思います。

Q.色を重ねる時の注意点を教えて下さい。

A. 漆器用下地でシボをつける時、深く大胆につけて下さい。
シボが浅いと研ぎ出し模様がボケやすいです。深いと鮮明に模様がでます。
次に1回目の色は厚めに、2回目以上は薄めに塗ります。その方が研ぎやすいです。

Q.研いだ時うまく模様が出ません。いい方法がありますか?

A. 工程ごとに乾燥を十分させて下さい。自然乾燥ですので、完全硬化までは1週間以上かかりますので、
1度塗っては24時間以上放置して下さい。
内部硬化してないと、研磨した時にサンドペーパーがからんで研ぎにくくなったります。
またシワ・チジミの原因にもなります。
冬期は乾燥が遅くなりますので、ドライヤー(乾燥剤)を混入して乾燥を早く出来ます。
何色もの色を重ねているので簡単には模様が出てきませんが、根気よく丁寧に水研の作業をして下さい。
余談ですが、津軽塗りを「馬鹿塗り」とも言います。
それは馬鹿なぐらい根気良く丁寧に仕事をする東北人の粘り気性の意味です。

Q.上に淡透を塗ったのですが、刷毛目や色ムラが出ます。よい方法は?

A. 刷毛塗りの技術は職人が何年もかかって会得する熟練の技術です。
また職人が使う漆刷毛も非常に高価な物です。趣味ですからという訳にもいきませんので、
良い方法として、上塗の淡透が乾燥したら#500水研用サンドペーパーでアテ木を使い平滑になるように水研します。
その上にネオクリヤー(透明に近いもの)を塗って下さい。

Q.上塗りフリヤーは黄色いのですが、透明なのはないのですか?

A. カシュー塗料の特徴で天然のカシュー原油そのものに色がついています。
天然の色がカシュー透で、淡透・クリヤー・ネオクリヤーという順で色が薄くなっていきます。
いくら頑張っても透明にはならなかったようです。
漆にも同じように色がついていますし、その琥珀色が塗り物の色の深味を出しています。
透を何度も塗り重ねると暗くなりますから、最後はネオクリヤーで仕上げて下さい。

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蒔貝研ぎ出し塗り(螺鈿)について

Q.貝の貼り方の注意点は?

A. 市販の木工用ボンドで貼っていきますが、取り出した木工用ボンドは乾燥が早いので少量づつ取り出し、
常に新しい木工用ボンドで貼っていって下さい。
接着力が弱いと後で剥がれる心配があります。

Q.貝を埋める塗料の厚みは?

A. 貝を貼り終わったら、1日1工程にて3回〜4回ぐらい同じ色の塗料を塗り重ね、
よく乾燥させてから、アテ木を使い水研用サンドペーパーで研ぎ出して下さい。

Q.最後の仕上げ方を詳しく教えて下さい。

A. 貝の色を鮮明に出すためには、できるだけ透明に近いネオクリヤーを塗ります。
ゴミやホコリが入りやすいので、1週間ぐらい乾燥させてからアテ木を使い
水研サンドペーパー#800〜#2000と順番で一定方向に研ぎます。
その後、コンパウンドワックスで磨き艶を出します。市販のコンパウンドワックスでは、
かぶったような艶になりやすいので、当社ではピアノなどに使われる工業用のコンパウンドワックスを用意しています。

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その他

Q.木固めの目的とは?

A. カシュー透を刷毛やタンポにて木材に摺り込むことです。
そうすると、木が変形したり収縮したりする事が少なくなります。
裏面も必ず行って下さい。木のソリを少なくします。

Q.布着せの目的とは?

A. 木ベラにてカシュー下地をヘラで均一に塗り、その上に寒冷紗(かんれいしゃ)をおき、カシュー下地にて木ベラでしごきます。
木の変形や収縮を防ぐ最良の方法で、現在のF.R.P(ガラス繊維強化プラスチック)の原形と言われています。
丈夫で品質がよくなります。布目塗りはその寒冷紗の布目を模様にしたものですが、実際は漆器を使いこなすうちに磨耗により自然に生まれた模様と言われています。

Q.しごきって何ですか?

A. カシュー下地や漆用下地を木ベラにて塗ることです。
木ベラを親指と人差指で、丁度鉛筆を握るようにはさんで持ち、一定の力を入れ木ベラのしなりを利用して均一な厚みで下地を塗ります。
熟練が必要ですが、上手な職人は上塗等もヘラ塗りします。

Q.呂色艶(ろいろつや)仕上げとは?

A. 本当は蝋色艶と言って蝋人形のようにしっとりとした艶のことです。
漆塗りではくろめ漆を塗って乾燥させ、木炭で研磨して鹿の角を粉末にした角粉で磨きます。
角粉等一般では入手困難ですので木炭の代わりに水研用サンドペーパー#800〜#2000で研磨し、コンパウンドワックスで磨きます。ゴミ・ホコリの多い場合はこの方法で仕上げると美しい仕上がりになります。
アメリカの3M社のコンパウンドパープルが一番よいのですが、市販されていませんので当社で用意しています。

Q.塗る物は木材以外は駄目なんですか?

A. 木材は勿論のこと、竹・金属・プラスチックでも塗装は可能ですが、付着するかの問題があります。
先ず竹ですが、静岡には竹を使った漆器もありますし、代表的なのは九州藍胎漆器があります。
竹の編目模様が美しい塗り物です。100円ショップで購入した竹かごを漆器用下地で刷毛塗りし、朱・黒と塗り重ねて研ぎ出すと編目模様が出てきます。
上塗りにカシュー透を刷毛塗りして仕上がりです。簡単ですからおすすめです。
金属・プラスチックにも色々種類がありますが、東北地方に多い鉄器は漆やカシュー黒を高温で焼付けています。
鉄板・アルミ・ステンレスには、ウォッシュプライマーを塗り、上に2液性ポリウレタンサフエサーを塗り研磨してからカシュー塗料材を塗って下さい。
プラスティックでは、スチロール・アクリル・ポリカーボネートは不向きと思われますが、一番多く使われているABSなども、2液性ポリウレタンサフエサーを塗り研磨してカシュー塗りをして下さい。
また、ポリプロピレンは、PPプライマーを塗り上に2液性ポリウエタンサフエサーを塗り研磨してカシュー塗りをします。
注意することは、カシュー塗料の上に2液性ポリウレタンの塗装はできません。
ただし、カシュー塗料を塗って1ヶ月以上完全硬化すれば、研磨して2液性ウレタン塗料を塗装しても大丈夫だと思います。

Q.シンナーの種類を教えて下さい。

A. シンナーは塗料に使われている樹脂を溶解(良く馴染む)し、作業しやすい粘度(硬さ)にするためにあります。
カシュー吹付用シンナーは、スプレーガン用でタレにくくするために乾燥が早めです。
カシュー刷毛用シンナーは、乾燥が遅めに出来ています。
カシュー塗料は乾燥の遅い塗料ですので、速乾型のラッカーシンナーやウレタンシンナーを使用すると艶ビケの原因になりますので避けて下さい。
シンナーは消防法でも危険物ですので火気厳禁です。
油絵を描く時に溶かすテレピン油は、カシュー塗料には良く馴染みますし、光沢を良くしますので使用できます。
飲むことは有害で危険ですので、子供さんの手の届かない所に保管して下さい。
また換気のよい場所で作業して下さい。

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